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2015/8/6 世界バレエフェスティバル<Aプロ> [バレエ]

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三年に一度の祭りが来た!
ロンドンにも行ったし、色々チケ代嵩んでるし、買い足しできないように各プロ最終日のみ。
いやー楽しかった!

【第 1 部】 ★「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
(ヤーナ・サレンコ&スティーヴン・マックレー)
今回はマリア・コチェトコワが怪我で来日できなくなったので、シムキンの相手としてもサレンコ登場のためか、最初に登場。
まぁチャイパドは早めが多い印象もある。
そこまでテクニックに走った感もなく、でも「これからフェスが始まるんだな」というワクワクは感じさせてくれる程よさだった。
サレンコはテクはあるけれどあまり好きなダンサーではなく、どちらかというと苦手だった。
ロホやオシポワほど突き抜けた感じがなく「どう?」「どう?」という感じが嫌だった。
ロホやオシポワは「どうだっ!」て感じ。あ、おもねる感じが嫌ってことか。
で今回のサレンコはそういう感じが薄れていて、普通にテクニックがあるダンサーのようだった。
マックレーは相変わらずイキイキ。
ただどうしてもチャイパドの超絶技巧というと
やりたい放題だったアンヘル・コレーラを思い出してしまうのだが、彼ほどでもなく。
そこはロイヤル仕込み、上品に終えていた。

★「3 つのグノシエンヌ」
( マリア・アイシュヴァルト&マライン・ラドメーカー)
振付はハンス・ファン・マーネン、今までに見たことがある演目だけど、その時の印象より良い。
なんといってもアイシュヴァルト! 全幕で観ることが多くて演劇的ダンサーの印象が強い。
今回のコンテンポラリー演目でもシャープでエッジィであったり、妖艶であったりと
とっても良い感じに雰囲気がついていて面白かった。彼女ならではという感じ。
ラドメイカーは少し肉がついたというか、がっしりした体型になっていた。
サポートも万全でよい。
なおピアノが生演奏で、かなり良かった。パリオペラ座付きの人らしい。
途中でそれなりな地震があったけれど、まったく動揺も見せずに進んだ。
ちょうど曲の終わり間近だったのが良かったのかなぁ。
でもあの感じだと、たとえ途中でもそのまま踊りきってしまいそう。
セットがない演目だったのも良かったのかも。
なんにせよ、地震に負けない緊張感を保ったまま舞台をみせてくれた二人は素晴らしかった。

★「お嬢さんとならず者」
( アシュレイ・ボーダー&イーゴリ・ゼレンスキー)
いやとにかく面白かった。たぶん初めて見る演目。
この歳になって日本初披露の演目を踊ってくれるゼレンスキーは若い。
舞台下手にはベンチと街灯。そこにアシュレイ・ボーダーが登場。
曲はジャズ組曲第2番のワルツNo2。ん? ジャズ組曲なの?と疑問に思うがそういうものなの?
アシュレイは薄いピンクぽく見えるボーダーか何かのテロっとしたミニワンピース。
軽快な感じで一般的「お嬢さん」よりは砕けている印象を受ける。
一端アシュリーがはけて、ゼレンスキー登場。
ちょい丈が短めのシャツにパンツ、キャスケット帽。
シャツの一番下のボタンが開いてるのか、腹がチラチラ(笑)
ちょっと身体は重めに見えたけれど、こう来たか!という感じにハツラツな踊り。
そしてやっと「お嬢さんとならず者」の曲使用となった。
しかし帽子をとると御髪が…という状態なので途端に若さが失われる(笑)
ファンだけど、やっぱりそこはどうにかして欲しかった!(どうやって?!)
でもそのメリハリが面白いんだよなー。かなり笑えてしまって、肩が揺れてしまう(笑)

隠れていたアシュリーを捕まえて、迫るところだとか
ゼレンスキーはやけにわかりやすい演技なので、アテレコが出来そうな感じで面白い。
「オレっちバカだからわかんね!」とか「べっぴんさん、行かないでくれよーぅ!」とか
「ほら!オレっちの筋肉、すごいだろ?!」などなど。

しかしベンチにアシュリーを座らせるシーン、面白い!
「ジゼル」を観ている人なら、ああここでアシュリーはちょっと避けて隣に座らせて上げるのかな、
と誰もが考えると思う。
が、お嬢さんはベンチのどまんなかに座ったままで、ならず者が座る場所がない。
そこに腹を立てて「うがー!」っといきなりベンチを後ろに倒すのだ!
古典の「ジゼル」を逆手にとった振り付けで、いい!
(振り付けはコンスタンティン・ボヤルスキー)

ラストはお近づきになったお嬢さんが帰った後、1人ベンチに座り、
お嬢さんの真似をして足を揃えて座るならず者のゼレンスキー。
ここも真似の仕方とかなんとも言えずおかしみがあった。
ああ、この演目は1回だけでなくもっと観たかった!

★「白鳥の湖」より”黒鳥のパ・ド・ドゥ” 
(タマラ・ロホ&アルバン・レンドルフ)
えーと以前観た時に、ロホは確か口をんーぱ!んーぱ!という感じで呼吸していた記憶なんだけど
今回はまったくそんなことはなく。誰かと間違えているのかなぁ?
いやいやこってりしたオディールでした。
テクニックも演技も濃厚。王子にふと手を差し伸べて、すぱっと振るところなんて
悪女というよりSです、S。貫禄の違いって感じ。
で、王子は…ロホが小さいからとはいえ、あまりにも小さく筋肉質なのでバランスも悪く…
もちろんそれなりのテクニックはある。でもロホと較べてしまうと…
セルゲイ・ポルーニン辺りを連れてきたいところなんだろうけれど、無理だし、
そうなるとENBからしかないのかなぁ。せっかくのロホだけどお相手が残念だ。
あ、32回転は途中で角度をつけてまわっていたような? 他の演目の誰かと間違えてるかな?

★「フェアウェル・ワルツ」
(イザベル・ゲラン&マニュエル・ルグリ)
出てきたゲランを見てびっくり。美魔女どころじゃなく、齢をとっていないみたい。
どうなってるの?ゲランてば!
振り付けは例によってバナ。ただいつもの「ああ今回だけだろうな」という雰囲気が薄く、
きちんと大人の二人に向けた振付になっていて、飽きなかった。
一部からいきなりどんどん年齢層が高くなっていくけれど、
でもベテランだからといって見劣りすることもなく、素晴らしいものを見せてくれる。
特にこの二人は「エレガンスの極み」や「エレガンスの真髄」という言葉が浮かんでくる。
動きの一つ一つがとにかく美しいのだ。
指先、視線、どこをとっても「もう少しこうなれば」というところがない。
さすがだなぁ。
やはり年はとっているけれど、だからといって見劣りするわけではない、
ということを証明している二人だった。

<第 2 部> ★「アザー・ダンス」
(アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ)
うん。休憩を挟んだとはいえ、エレガンスの極みの二人の後では正直物足りない。
二人共苦手なダンサーではないし、どちらかというと今のパリオペなら観たい二人だ。
でもアマンディーヌにはなんだか少し合わない演目だと思う。
マチューは何を踊ってもマチュー。そういう意味ではとっても安定している。
マチューで観たいのは「モレルとサン・ルー」か「天井桟敷の人々」のバチストだな。
あと相手によっては「椿姫」のアルマン。

★「マンフレッド」
(マチアス・エイマン)
お久しぶり!お久しぶりだよ、マチアス!
怪我から復帰してやっと見られたと思ったら、こんなにテクニック満載の演目で
しかも本当に素晴らしい出来だった。
最後の床ゴロゴロでさえ、美しい。(ジャベールの無骨なゴロゴロとは違う)
完全復帰なのかな? でもお相手がいないのでリフトとかどうなのだろうと心配もある。

★「ジゼル」より
(サラ・ラム&ワディム・ムンタギロフ)
あまり印象に残らず。ワディムは観る度に洗練されていっている。ロイヤルに移籍したのが本当に良かったのだろう。
サラは美しかったけれど、それ以外の感想はなく。

★「ライモンダ」より”第 3 幕のパ・ド・ドゥ”
(マリーヤ・アレクサンドロワ&ウラディスラフ・ラントラートフ)
前回のボリショイ来日時は、怪我からの復帰後ということもあって、微妙にまだセーブしている感じがアリアリとしていたマーシャが、今回は全盛期に近づいてきた感じ。
しかし衣装が不思議。明らかにライモンダではない衣装だと思うのだけど、あれは何の衣装?
コルセット部分が青にキラキラのストライプみたいで、バランシン物にありそうな衣装。
でも小さい袖は二の腕につけていて、ライモンダ風にはなっていた。
脚も前回よりは絞れていたし、もう少しだ!
ラントラートフはマント付き。裏か表か忘れたけれど、どちらかは青一色のマント。
サポートも安定しているし、ふたりともしっかりぴたーっと目線を合わせていて
素晴らしい世界観を作り出していた。
でもジャン・ド・ブリエンヌはウヴァーロフ一択な私には、ウヴァーロフの幻影が見えてしまう(笑)
そうするとラントラートフでも物足りないのだよなぁ。贅沢なことだ。

<第 3 部> ★「失われた純情  いにしえの祭り」
(アンナ・ラウデール&エドウィン・レヴァツォフ&シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ)
振付はジョン・ノイマイヤー。
いやわからん演目だった。
舞台奥にはパーティーの設定がされているような長いテーブルに箱っぽい壁のような物体が数個。
その前でふた組が入れ替わりで踊る。

★「シンデレラ」
(アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー)
今回もまた、サポートにだけ徹するコボー先生。物足りない。
でもその物足りなさを完全に埋めるのがコジョカルの溢れんばかりの愛情。
というか絶対溢れていた。
もうコボーへの愛が客席にだだ漏れで、こんなに幸せなシンデレラはいない!という感じ。
何をしてもキラキラ。
踊りそのものも情感溢れるものだし、もちろん技術も安定しているし、素晴らしかった。
しかしハタから見ると、なぜそこまでコボーを?!と思ってしまったりもする。
でもコジョカルがあれだけ愛しているコボー、良い人なんだろうなーとほんわかする。
こんなコジョカルが見られるのもフェスくらいかも。

★「オールド・マン・アンド・ミー」
(ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ)
振付はまたハンス・ファン・マーネン。ちょこっとヴィシニョーワが勿体無い感もある演目。
3部構成的な感じに音楽がばらばら。
第1部っぽいヴィシニョーワがひたすらマラーホフの気を引こうとするパートが結構好き。
コミカルなんだけど、さすがヴィシニョーワ。おしりを振るのもいやらしくない。
コジャレた大人の雰囲気なのだ。マラーホフは眉間にシワを寄せて立ち尽くしている演技。
そして2部ではお互いがお互いに空気を入れ合うというこれまたコミカルパート。
これも掛け合いが面白い。
でいきなり3部はモーツァルトのあの「ピアノ協奏曲23番イ長調」なわけで、これは「ル・パルク」を思い出さずに入られない。振りも今までのコミカルなものから、しっとりしたものに変わる。
このつなぎがよろしくないと思うのだ。
友人はコミカルパートが好きじゃないらしい。
私はどちらも好きだけど、曲調も振りも変わるのがハードランディング過ぎてどうにかならないのかなーと思う。そこが残念。

★「パリの炎」
(ヤーナ・サレンコ&ダニール・シムキン)
相変わらずの技巧派二人。
シムキンは以前よりサポートが上手くなったのかどうか、
この作品、お相手がサレンコだと微妙に判断がつかない。


<第 4 部> ★「白鳥の湖」第 2 幕より 
(ウリヤーナ・ロパートキナ&ダニーラ・コルスンツェフ)
ダニーラはサポートに徹するような演目。でも以前のゼレンスキー辺りよりは踊っていたかな。
しかしコルスンツェフが出てきてまず思ったのは「足長いっ!」ということ。
今回は直前がサレンコ&シムキンの小柄ペアだったからより一層感じた。
そしてさらにロパートキナと並んだりしたら、二人とも本当に驚異のスタイルの良さ。
見た目だけでなく、踊りも安定して超一流。
休憩後の客席の少しわさわさした感じがあっという間に一掃された。
ガラとはいえ、奇をてらわない、オーソドックスな、でも磨きに磨かれた白鳥の湖でため息しかでない。
ロパートキナの腕の美しさよ! どんな動きをしてもなめらかで本当に美しい。
コルスンツェフも安定のサポートで、まったく不安な動作というものがない。

★「トゥギャザー・アローン」
(オレリー・デュポン&エルヴェ・モロー)
振付はバンジャマン・ミルピエ。
衣装は二人とも少しだけレーサーバックになった白いぴたっとしたタンクトップにデニム。
コルスンツェフの足の長さに驚いた後に、モローの足の長さにも驚く。
何度見てもモローの足の長さは本当にすごい。あの長い足が雄弁に語るのだから、そりゃきれいなんてものじゃない。
シンプル衣装なので特に二人のスタイルの良さが際立つ。
ただなんとなく、ミルピエの振り付けはもっとダラダラした感じが出ると面白くなるような気がした。
二人だと綺麗にまとまりすぎるというか…
ローザスとかリヨン国立あたりの踊りのほうが合いそうな振り付けだと思った。
振り付け自体は嫌いではないし、二人の踊りももちろんよいのだけれど
もう少し違う演目で見たかったなぁというのが本心。

★「オネーギン」より”第 1 幕のパ・ド・ドゥ ” 
(アリシア・アマトリアン&フリーデマン・フォーゲル)
なんだろう? 今まで鏡のPDDは「甘い少女の夢」と思って見ていたのだけれども
今回のアマトリアンのタチヤナは甘くはなかった。
少女が見る大人の夢という感じで、甘いだけでなく厳しさも潜んでいたような気がする。
フォーゲルのオネーギンは意外と甘さがなく、タチヤナの夢だというのに割と酷薄な感じ。
秋に全幕が観られるのがとても楽しみ。


★「ドン・キホーテ」 より
(ヴィエングセイ・ヴァルデス&オシール・グネーオ)
フェスのガラならではのお祭りドンキ。もうこれでもかってくらいヴァルデスはバランス取っていた。
あー、はいはい、って状態。
グオーネはぐるんぐるん回る回る。6回転くらいは余裕でしていた。
もうここまでいってしまうと、下品とか雑だとかどうでもいいですね。
あ、ヴァルデスは癖ありまくりで、顎、首、肩をクイクイ動かしてアクセントつけていた。
でも主催者から期待された通り、盛り上げるという1点に全力投球という意味で素晴らしく任を果たしたと思います。


いやー終わってみれば、ベテランの頑張り&素晴らしさが目立つフェスAだった。

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