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映画「バベル」 [映画]

バベル スタンダードエディション

バベル スタンダードエディション

  • 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2007/11/02
  • メディア: DVD

正直イマイチ。
聖書でのバベルとは、単一言語の民が神に近づこうと立てた塔のことだが、
神はそれを許さずに言語を分けて民を分かつことにするのだ。
これを踏まえても踏まえなくても、「コミュニケーション不足(断絶)」というテーマが
比較的わかりやすく提示される。
でも「だから何?」としか言いようがない。

この映画の中で、なんといってもオイシイ役は、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた菊池凛子さん演じる聾の女子高生役。
他のどんな役よりもオイシイ見せ場が満載。
これは、正直菊池さんじゃなくてもノミネートされそうな役どころだと思う。

以下ネタバレあり。

モロッコ旅行中のアメリカ人夫婦は、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェット。
2人の子供をアメリカに残して旅行しているのだが、たぶん乳幼児突然死症候群(SIDS)で3人目の子供を亡くしたばかり。
お互いに子供を亡くしたこと、その後の状況に負い目があり、もやもやした感情をもてあましている。
溝を少しでも埋める為の旅行と思われるが、全然溝は埋まらず、お互いにイライラするばかり。
ところが突然妻が狙撃され、重症を負ったことにより、心情を吐露しあい、絆が深まる。

モロッコでアメリカ人夫婦を狙撃したのは、モロッコの遊牧民の少年。
少年は次男で、長男と気が合わない。(ここら辺、少しカインとアベルを意識?)
長男はまじめだが、次男は要領がよく、長男よりうまくことをこなすことができる。
遊牧している羊を狙うジャッカルを追い払う為に父親がライフルを手に入れ、少年達に持たせる。
だが長男よりうまく狙撃できる次男は、長男と狙撃の腕を競い、観光バスを撃ち
その弾が前述のアメリカ人妻に当たってしまう。
兄弟通しのいがみ合いが、些細なことから国際問題にまで発展し、家族の崩壊を招く。

アメリカ人夫婦の幼い子供二人は、アメリカでメキシコ人お手伝いのアメリアと共にお留守番。
姉役はエル・ファニングで、ダコタ・ファニングの妹。これがまたそっくり。
アメリアの息子の結婚式があるが、アメリカ人夫婦は旅行中の事故により帰宅しない。
代わりのベビーシッターも見つからず、息子の結婚式に出られなくなりそうなアメリアは
甥と共に子供達を連れてメキシコに帰ることにする。
アメリアの甥役がガエル・ガルシア・ベルナル。少し気のいい、ちゃらんぽらんで短気な役にぴったり。
しかし結婚式を終えてアメリカに帰る際に、酔っ払った甥の言動のおかげで
国境を無理やり突破してしまうことになる。
そして警察に追いかけられる羽目になり、アメリアと幼い姉弟は砂漠で置き去りになる。
運良く警察に発見されるが、アメリアは不法移民のためメキシコに即時強制送還される。

日本では、聾唖の女子高生・チエコ(菊池凛子)が、若干崩れた生活を送っている。
母親は自殺し、残された父親(役所公司)とは明らかにコミュニケーション不足。
人淋しいチエコは、同年代の男の子達にほのかに思いを寄せても、
聾ということで相手にされず不満が高まるばかり。
思い切って性器を見せ付けるという行為で、優位に立とうとするが、それだけ。
その後、歯医者に迫ってみせるが拒絶され、さらに友人の紹介で知り合った聾に理解のある男の子とも、うまくいきそうでうまくいかず、所在なさげ。
父親を尋ねてきた刑事の若い方にも気があり、父親が不在にも関わらず刑事を呼び出す。
呼び出した若い刑事に裸で体当たりするが、これまた拒絶される。
黙って泣いているところを慰められ、少しだけ癒されるチエコ。
その後帰宅した父親と抱擁し、一見コミュニケーション不足が解消されたようでもあるが
実はほとんど以前と変わらない。(チエコが成長したかも?)

モロッコの2家族(アメリカ人夫妻と遊牧民家族)は、被害者、加害者の関係であり
アメリカ人夫妻とメキシコ人お手伝いも関係性がある。
では、日本人家族はどこに接点が?

でもこれ、別に無理やり接点つけなくても良かったと思うのだ。
接点は猟銃。モロッコに狩りに来た日本人父親が、現地ガイドにお礼として猟銃を譲る。
その猟銃(ライフル)が、さらに現地ガイドから遊牧民家族へと物々交換される。
刑事がチエコのところに尋ねてきたのは、
モロッコでアメリカ人観光客が狙撃されるという国際問題に発展した事件が
テロやブラックマーケットと無関係なのか判断するために、ライフルの出所を確認しにきたのだ。

この接点が明らかになったときに「うへぇ」と思ってしまった。
そんなに無理してつじつまつけなくてもいいよ、と。

ついでに映画「バベル」の中では時間軸もずれている。
それぞれの家族の話が語られるが、時系列では語られず、一見バラバラのピースとなっている。
だが、その内容により時間が前後していることに気づく。
これも割りと簡単に時間軸がずれていることに気づくので、特に明示することはないと思うのだが
最後のほうで、モロッコの病院でアメリカ人夫が自宅にいる子供達と
お手伝いのアメリアに電話するシーンは、映画冒頭の子供が電話に出ているシーンだということが
同じ台詞によりはっきりとわかる。

これもまた、蛇足気味だよなーと思い、がっくりしてしまう。
何もこんなにわかりやすく作らなくてもいいと思うのだけど…

なんだかこのがっくり感は「クラッシュ」を見たときに似ている。
というわけで、私と違って「クラッシュ」が好きな人は「バベル」もきっと好きな映画になるのかも。


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