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ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス「amjad」 [ダンス]

「アメリア」から4年ぶりのラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスの公演。
今までは結構びわ湖ホールでも公演していたような気がするのだけど
今回は彩の国さいたま芸術劇場のみの公演ということで、大阪から出てきてみた。

初日の4日は公演後に、なんとエドゥアール・ロックのトークショー付き。
特に尋ねたいということがあるわけではないけれど、話は聞いてみたい。

また1階のガレリア(通路?)で過去の作品の写真やポスターの展示があった。
いつものモノクロで下からあおって撮った写真の数々。
格好いいので、ポスターとして売ってくれないかな。
20080704_amjad.JPG
今回の演目は「amjad(アムジャッド)」。
チャイコフスキーの「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」をモチーフとして取り入れているらしい。

幕が上がると、舞台上奥にピアノと弦楽器3人。
両サイドには、枝のような立体が張り付いた短冊型の細長い板が3枚ずつ。
ステージには、小さい円が左右にあり、中央に大きい円。こちらはスクリーンになっている。
かなり前の席で観たので、スクリーンの境目がはっきり見えてしまい
少し効果が薄かったような気がする。
で、スクリーンには、なにやら人体の内部のようなものとか、微小生物みたいなものとかの
有機的なものと、白い球体が映し出されていた。(女性もあったな)
白い球体は、大きなものが1つぽんと浮かんでいると月のようだし
小さな球体が連なっていると、真珠のネックレスのようだったりと
色々イメージしてよ、という感じ。

そして肝心のダンスは、のっけから例によって高速ダンス。
バレエのパ・ド・ドゥのように男女ペアで踊っていたのだが
高速ダンスを見ると、「ああ、ラ・ラ・ラだなぁ」と安心感すら覚える(笑)

「白鳥の湖」のチャイコフスキーをアレンジしているのだが、転調してあったり、
思いもよらないところから始まったりと、古典を聞きなれていると新鮮。
そして例によって、男性のポアントワークもあったりして
どこをどうとっても『ラ・ラ・ラ』なんだけれど
個人的には「アメリア」の方がワクワク感というかドキドキ感があったような気がする。

しかし「アメリア」で見ていたダンサーが一人結構年をとっていて
次回は見られないかもしれないなぁと思ってしまった。
高速ダンスではあるのだけど、以前ほど高速ではなかったし…

そして「白鳥の湖」「眠れる森の美女」をモチーフにしているという話だったが、
女性陣の腕の動き(もちろん古典バレエにおける白鳥の羽ばたき)が
ラ・ラ・ラらしいけっこうなスピードであるくらいで、あまりモチーフらしさを感じなかった。
(腕の動き以外では、男性二人によるパ・ド・ドゥが少しマシュー・ボーンぽかったが)

ラストは、生演奏とは別にドドン!という太鼓のような大音響とともに
スクリーンに大きな白い球が映される。音は3音がそれぞれずれてドドン、ドドンと
祭り太鼓状態なのが、徐々にシンクロしていき、最後には1音になる。
球も音にあわせて振動というか収縮したりするのだが、それも3つのスクリーンで
それぞれ別々に動いているのが、最後は同じ動きになる。
その過程で、「あ、これは心音なのかな?」と思ったのだが、どうなのだろう。


そして公演後のトークショー。
適当にメモしていたので、意訳もあるかも。というより意訳があると考えてもらった方がいい。
Q1-モロッコでは男性名でも女性名でもあるタイトルの「amjad」に込めた思いは?
A1-20世紀の変わり目にオリエンタルな想いに言及している。
 ロマンチックバレエが制作された時代には制約が多く、セクシャルであったりというのはできなかった。
 が、セクシャルなことやエキゾチックなこととして「オリエンタル」というものがあり、
 オリエンタリズムによって制約されたものを表現していた。

Q2-ライティングも円になっていたが、スクリーンに写されていた円のモチーフは?
A2-円は完璧な形であり、構成である。生物とはかけ離れた完璧さがある。
 また伝統的なバレエのイメージにも言及している。衣装に使われるパールなどがそう。

Q3-振付と作曲はどのように平行して進めているのか?
A3-まったく関係がない。振付と作曲は必ずしも関係している必要もない。
 音楽はホット・メディアであり、振付はコールド・メディア。(→イマイチ意味が分からない)
 デヴィッド・ラング(「アムジャッド」の作曲家の一人)は、音楽で人を感動させるのは
 簡単だという。音を一つ一つつなげていけば、音楽になる。
 (ラ・ラ・ラの場合)作曲家にプロジェクトを説明し、好きに構成を進めてもらう。

Q4-ジャック・ラカンの影響はある?
A4-人間的には影響を受けているが、振付には受けていない。

Q5-作品の上演について注意していることは?
A5-すぐには思い浮かばない。前と同様のことを拒否すること。
 前向きに。

Q6-ルイーズ・ルカヴァリエ(以前のラ・ラ・ラのダンサー)との仕事はないか?
A6-彼女は別の活動をしている。双子の娘がいるよ。
 いつかあるかもしれない。

Q7-ダンサーに過酷な動きを強いているようだが、ディスカッションによる振付はある?
A7-ダンサーは僕より強いよ。ステージでは早いけれど、リハはゆっくりしている。
 制作過程ではディスカッションしながらゆっくり作っている。
 クラシックのテクニックや、コンテンポラリーのテクニック(重心の移動など)も
 ダンサーが色々試してみたりしている。
 ビールを飲みながら、楽しくやっているよ。(→ジョーク?)

Q8-あなたも踊りながら振付しますか?
A8-はい。クラシック以外の部分をね。
 しかし、僕のように踊ることには興味がない。ダンサー個人によるものがよく、
 中庸な感じで作っている。僕のクローンであったり、指示したとおりに踊られるのは嫌。

Q9-創作上や日常などで大切にしているものは?(→やけに抽象的な質問だった)
A9-世界は奇妙(strange)。それを忘れずに、常に意識している。
 ダンスの身体表現は特殊。身体は思うように動かず、不思議なもの。
 頭の中だけでは完結しない。動いているときに特にそれを感じる。

Q10-照明のせいなのか、速いせいなのか残像が見える。振付時にそれを意識しているのか?
 それとも舞台上でできる産物なのか?
A10-ダンスは光と関係がある。あからさまに照らすのがよいとは思わない。
 隠すほうが面白い。身体的、感情的なリアリティは人によって変わっていく。
 光の位置、強さを変えることによって、観客の印象も変わる。
 見ている人の距離感(認知的、心理的)も変わる。


なんとなーく、質問と答えが合っているようで合っていないような、微妙な感じ。
それにしても、いまだにルカヴァリエについて尋ねられるのは
もしかしたら心外だったかも。
ルカヴァリエなしで創作は続いているわけだし、見たいという気持ちはわかるけど
ルカヴァリエだって年齢を重ねていて、もうキレキレのダンスは見られないかもしれないわけだし。

もう少し質問を精査して、会場からの質問で足りなければ
もっとプロデューサーの方が突っ込んで聞いてくれればいいのに、と思ってしまいました。

後から尋ねればよかったなぁと思ったのが
「過去作品の上演は考えていないのか」ということ。
ルカヴァリエなしで構わないのだけど、「ソルト」「アメリア」「アムジャッド」と
映像で「ヴェラスケスの小さな美術館」しか見ていないので、「2」とか見たいのだ。


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