映画「陰獣」 [映画]
江戸川乱歩の「陰獣」を基に作成されたフランス映画「陰獣」。
フランスでの題名は「Inju, la bête dans l'ombre」。
一体、何ゆえフランス映画???
これはとりあえず見てみなければ!
しかし大阪では、ちっちゃーいところでの上映。
というわけで、デジタルDLP上映だと思われ、結構画像の粗が目立つ。
ギザギザ、カクカクがいやだなぁ。
で、映画自体について。
監督はバーベット・シュローダー。
ジェレミー・アイアンズとグレン・クローズ主演の「運命の逆転」や
ブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーの「ルームメイト」などの監督。
「ルームメイト」は面白いサスペンスだったよなぁと思い出した。
が、その後はあまりぱっとせず、といった印象。
主演はブノワ・マジメル。
何作か見ているけれど、一番印象に残っているのは
ミヒャエル・ハネケ監督作の「ピアニスト」。
あのときの美青年ぶりはただごとではなかった。
が、その印象でこの映画を見ると……(つД`)
ああ、マジメルがあまりにもおっさんになっていてショック。
石橋凌より貫禄あるお腹周り。ちょっとそれはないだろー(つД`)
あらすじはこんな感じ。
日本の推理小説家・大江春泥を研究しつつ尊敬している、フランスの新進推理小説家の
アレックス・ファヤール(ブノワ・マジメル)が、プロモーションで京都へやってくる。
大江春泥は、人気作家にも関わらず覆面作家として知られ
アレックスといえども会うことはできず、逆に公開番組中に視聴者からの電話で大江から「帰れ」と脅される。
接待によりお茶屋へ行ったアレックスは、そこで背中に傷のある芸妓・玉緒(源利華)と出会う。
芸妓玉緒は本名ユキで、若いときに付き合った平田一郎という男性に脅されているという。
平田は大江春泥だというユキ。
脅迫状のサインは、出版社にある大江春泥のサインと同一だった。
ユキは著名な実業家の茂木(石橋凌)と付き合っており、妊娠したのがきっかけで
平田=大江が脅迫にいたったという。
ミステリアスなユキに惹かれるアレックスは、大江からユキを守ろうとする。
ところが…
というようなものなのだが、どうもイマイチ。
乱歩作品からはかなり役柄が変わっているけれど
ま、大江はあの人でしかないとわかってみているせいもあるかもしれない。
それにしてもちょっと粗が目立つつくりなのだ。
最初に劇中映画として、しょーもない映画が流れる。
これが原作は大江春泥のものなのだが、主演は西村和彦。
なんだか無駄な豪華さというか配役だなぁ。
そしてこの劇中映画がまたヒドイ(笑)
いやー、あれはないわ、という感じで冒頭から笑ってしまった。
ちなみにこちらの映画は昭和初期風の作りで古い映画というつもりらしい。
そう思えばチープさも我慢できるかも。
で、その映画はアレックスが代理で大学で講義しており
その講義中に生徒に見せていた、というわけ。
いやぁぁぁ、あんなヒドイ映画、生徒に見せないでよー。
間違った日本情報が流れてしまう(笑)
でもその後の描写では、そこまで間違った日本情報は流れておらず
結構安心してみていた。
気になったのは3点。
1)京都の「お茶屋」ってフランス語では、そのまんま「maison de thé」と言っていたような…
なんだか微妙に意味が違うような気がするけれど、それでいいの?
2)茂木を追ってタクシーに乗るアレックスが運転手に英語で「前の車を追って!」と
指示して、運転手は普通に「OK!」と答えていたけど、そんなに通じるか?
3)大江の指定の洋館は新幹線の路線沿いにあるけれど、あれはセット?
つっこみどころは多々あって、作家のプロモーションがいきなり京都ってところとか
アレックスに付いてくれた出版社の担当者が、謙遜とはいえ
「大学で習っただけです」と言いつつも流暢にフランス語を話すとか
妊娠しているユキに普通にSMとか、
ま、本当に色々あるんだけど、些細なこと。
マジメルは、意外と坊ちゃんな素直な感じが出ていて、役に合っていて◎。
源さんは、京都弁がなにやら怪しかったけれど、影のある色気という点で◎。
キャスティング時にはフランス語のできる日本人女性ということで
中山美穂、宮沢りえ、中村江里子といったあたりの名前が挙がっていたらしいが
こちらの面々ではわかりやすい色気しかないし、はたしてSM描写やなにやらは
できなかったのではないだろうか?
どちらかというとユキ役は、棒演技のほうがうまいことミステリアスさにつながりやすいから
源さんでも問題なかったのだろう。
一番の問題は、ここ。
以下ネタバレ↓↓↓
茂木殺しの服役中のアレックスのところに、以前大江春泥について語ってくれた泡瀬氏がやってくる。
その描写がなんといっても残念すぎる!
服役中ということで頭を丸めているアレックスなのだが
妙な軍隊式の歩き方をし、妙な片言日本語を話す。
服役中はどう生活し、どう所作が決まっているかなど分からないので
実際のところ、この映画のあのトンデモ所作が正しいのかもしれない。
でも映画の流れとして、いきなり笑える描写になっていることは否めない。
日本人以外が見たら「日本の刑務所って怖い…」という描写になってるのかもしれないけれどさ。
で、泡瀬氏に大江=ユキだと聞き、愕然とするアレックスなわけだが
ここで図らずもアレックス=ブノワ・マジメルが投影されて見えてしまった。
本人的には、「すばらしい映画に出演できた!」なのか
「しまった。B級映画に主演してしまった」なのか
「ギャラがよければなんでもよし」なのか、とても気になるところ。
海外から見たら「日本情緒溢れるそこそこいい映画」扱いなのかなぁ。
お金出してみるというより、TVの深夜枠での放送で合間にCM挟みながら見るのが
気分的にぴったりな映画だったと思う。
フランスでの題名は「Inju, la bête dans l'ombre」。
INJU:THE BEAST IN THE SHADOW [DVD]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- メディア: DVD
一体、何ゆえフランス映画???
これはとりあえず見てみなければ!
しかし大阪では、ちっちゃーいところでの上映。
というわけで、デジタルDLP上映だと思われ、結構画像の粗が目立つ。
ギザギザ、カクカクがいやだなぁ。
で、映画自体について。
監督はバーベット・シュローダー。
ジェレミー・アイアンズとグレン・クローズ主演の「運命の逆転」や
ブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーの「ルームメイト」などの監督。
「ルームメイト」は面白いサスペンスだったよなぁと思い出した。
が、その後はあまりぱっとせず、といった印象。
主演はブノワ・マジメル。
何作か見ているけれど、一番印象に残っているのは
ミヒャエル・ハネケ監督作の「ピアニスト」。
あのときの美青年ぶりはただごとではなかった。
が、その印象でこの映画を見ると……(つД`)
ああ、マジメルがあまりにもおっさんになっていてショック。
石橋凌より貫禄あるお腹周り。ちょっとそれはないだろー(つД`)
あらすじはこんな感じ。
日本の推理小説家・大江春泥を研究しつつ尊敬している、フランスの新進推理小説家の
アレックス・ファヤール(ブノワ・マジメル)が、プロモーションで京都へやってくる。
大江春泥は、人気作家にも関わらず覆面作家として知られ
アレックスといえども会うことはできず、逆に公開番組中に視聴者からの電話で大江から「帰れ」と脅される。
接待によりお茶屋へ行ったアレックスは、そこで背中に傷のある芸妓・玉緒(源利華)と出会う。
芸妓玉緒は本名ユキで、若いときに付き合った平田一郎という男性に脅されているという。
平田は大江春泥だというユキ。
脅迫状のサインは、出版社にある大江春泥のサインと同一だった。
ユキは著名な実業家の茂木(石橋凌)と付き合っており、妊娠したのがきっかけで
平田=大江が脅迫にいたったという。
ミステリアスなユキに惹かれるアレックスは、大江からユキを守ろうとする。
ところが…
というようなものなのだが、どうもイマイチ。
乱歩作品からはかなり役柄が変わっているけれど
ま、大江はあの人でしかないとわかってみているせいもあるかもしれない。
それにしてもちょっと粗が目立つつくりなのだ。
最初に劇中映画として、しょーもない映画が流れる。
これが原作は大江春泥のものなのだが、主演は西村和彦。
なんだか無駄な豪華さというか配役だなぁ。
そしてこの劇中映画がまたヒドイ(笑)
いやー、あれはないわ、という感じで冒頭から笑ってしまった。
ちなみにこちらの映画は昭和初期風の作りで古い映画というつもりらしい。
そう思えばチープさも我慢できるかも。
で、その映画はアレックスが代理で大学で講義しており
その講義中に生徒に見せていた、というわけ。
いやぁぁぁ、あんなヒドイ映画、生徒に見せないでよー。
間違った日本情報が流れてしまう(笑)
でもその後の描写では、そこまで間違った日本情報は流れておらず
結構安心してみていた。
気になったのは3点。
1)京都の「お茶屋」ってフランス語では、そのまんま「maison de thé」と言っていたような…
なんだか微妙に意味が違うような気がするけれど、それでいいの?
2)茂木を追ってタクシーに乗るアレックスが運転手に英語で「前の車を追って!」と
指示して、運転手は普通に「OK!」と答えていたけど、そんなに通じるか?
3)大江の指定の洋館は新幹線の路線沿いにあるけれど、あれはセット?
つっこみどころは多々あって、作家のプロモーションがいきなり京都ってところとか
アレックスに付いてくれた出版社の担当者が、謙遜とはいえ
「大学で習っただけです」と言いつつも流暢にフランス語を話すとか
妊娠しているユキに普通にSMとか、
ま、本当に色々あるんだけど、些細なこと。
マジメルは、意外と坊ちゃんな素直な感じが出ていて、役に合っていて◎。
源さんは、京都弁がなにやら怪しかったけれど、影のある色気という点で◎。
キャスティング時にはフランス語のできる日本人女性ということで
中山美穂、宮沢りえ、中村江里子といったあたりの名前が挙がっていたらしいが
こちらの面々ではわかりやすい色気しかないし、はたしてSM描写やなにやらは
できなかったのではないだろうか?
どちらかというとユキ役は、棒演技のほうがうまいことミステリアスさにつながりやすいから
源さんでも問題なかったのだろう。
一番の問題は、ここ。
以下ネタバレ↓↓↓
茂木殺しの服役中のアレックスのところに、以前大江春泥について語ってくれた泡瀬氏がやってくる。
その描写がなんといっても残念すぎる!
服役中ということで頭を丸めているアレックスなのだが
妙な軍隊式の歩き方をし、妙な片言日本語を話す。
服役中はどう生活し、どう所作が決まっているかなど分からないので
実際のところ、この映画のあのトンデモ所作が正しいのかもしれない。
でも映画の流れとして、いきなり笑える描写になっていることは否めない。
日本人以外が見たら「日本の刑務所って怖い…」という描写になってるのかもしれないけれどさ。
で、泡瀬氏に大江=ユキだと聞き、愕然とするアレックスなわけだが
ここで図らずもアレックス=ブノワ・マジメルが投影されて見えてしまった。
本人的には、「すばらしい映画に出演できた!」なのか
「しまった。B級映画に主演してしまった」なのか
「ギャラがよければなんでもよし」なのか、とても気になるところ。
海外から見たら「日本情緒溢れるそこそこいい映画」扱いなのかなぁ。
お金出してみるというより、TVの深夜枠での放送で合間にCM挟みながら見るのが
気分的にぴったりな映画だったと思う。
この映画でSMシーンの指導をした人のbiogです。
http://dodado128.blog84.fc2.com/blog-entry-70.html
by fogg (2009-12-22 14:29)