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2016/6/18 英国ロイヤルバレエ「ロミオとジュリエット」ソワレ [バレエ]

ソワレのキャストはこちら。
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ジュリエット:ナターリヤ・オシポワ
ロミオ:マシュー・ゴールディング
マキューシオ:マルセリーノ・サンベ
ティボルト:平野亮一
ベンヴォーリオ:ニコル・エドモンズ
パリス:ヴァレリー・ヒリストフ
キャピュレット公:ギャリ―・エイヴィス
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そう、キャピュレット公にギャリー・エイヴィス!
そして昼夜と重要人物役の平野さん、お疲れ様です。

昼と夜、通して2公演を見ると、かなり違っていることに驚く。

でもまずは簡単なところから。

まずソワレのパリスはあかん!
1幕でジュリエットに紹介される時の歩き方が途中から首が前に出てしまっていて、なんというかがっついた印象の好色なパリスなのだ。
リフトも粗くて、オシポワが全然跳べていないし、どたどたした印象。
平野さんのジェントルパリスを観た後だと、本当に残念なパリスだった。
個人的にパリスは本当に重要で、イケメンでキラキラしていて、もちろん踊りというかリフトも滑らかでないとダメ。
ロミオとパリスが同じくらいの人でないと、そりゃロミオに行くよね、としか思えない。
パリスもいいのに、でもどうしてもロミオでないと!という切迫感が欲しいのだ。
そういうわけでソワレのパリスは落第だった。(好みの方がいたらごめんなさい)

マシュー・ゴールディングは出てきてロザラインにまとわりつくところからして、ゴールデンレトリーバーという感じ。
私の中では、ゴールディング=陽気な大型犬という印象が強いのだが、案の定そういう感じ。
なのでマキューシオ、ベンヴォーリオと踊っていても、きゃいきゃいした感じが強い。
それにマチネと違って、ロミオ、ベンヴォーリオ、マキューシオが大中小みたいなところも収まりがいい。
あ、でもマチネのマキューシオ、ベンヴォーリオのコンビとゴールディングでもワディムほどお小姓感は出ないと思う。それはワディムは拭い切れないノーブル感が他の二人と異なっているのに対し、ゴールディングはフレンドリーな大型犬だからなんだよね。

3人が町娘にお水をもらって顔や手を洗うシーンでも、ゴールディングもワディムと同じく壺の底を打って、顔に水を浴びせかけていたけれど本当に遊んでいる感じ。
こういう陽性の雰囲気、いいなー。

ロミオとジュリエットが出会った後の町のシーン。
ワディムの時は3人の娼婦と町娘たちはかなりいがみ合っている感じで、ロミオにキスをねだった娼婦は口を突き出して待っていたが、おでこにキスをされて悔しがる。
町娘たちはそれを見て「ほらごらん!相手にされてないよ!ぷっ!」という感じで冷やかすので、娼婦と町娘たちは更に険悪になるという感じ。
マシューの時は、キスをねだっても口を突き出さないし、おでこにキスされたのを見て町娘たちは「ほら見て!ロミオにキスしてもらったわ!いいなー」という感じで若干ほのぼの感があるのだ。
そもそもマシューロミオに対して、町娘たちがのぼせている感じがあって、ロミオはアイドルっぽい。大型犬マシューにはこの設定がぴったりあっている。
ワディムだと少し内向的な感じがするし、アイドル扱いがあまり似合わないんだよね。


しかしごめんなさい。ティボルトの平野さんが出てくると、個人的には目は平野さんにいってしまう。
平野さんのティボルトは、瞬間湯沸かしな感じですぐに怒る、怒りに溢れた若者に見えた。
瞬間湯沸かし器的なところもジュリエットと血縁だなと思わせるし、なんといってもギャリー・エイヴィスのキャピュレット公ともイケメンオーラばりばりなところが血縁ぽい。
というか、ギャリーと平野さんの並びは眼福すぎた。

マチネでのジェントルパリスとはぜんぜん違う役を1日で観られてお得だった。
でも正直に言うと、平野さんの黒髪はあのままで行くのだろうか?
漆黒の髪は顔から受けるコントラストが強くなるので、ティボルトでは役にプラスになると思うのだが、パリスではもう少しコントラストが弱い方がよりジェントルになるかと。
他の役を踊る時も、あのコントラストの強さはデメリットもあるだろう。
今後どうするのかなーと気になってしまった。
(個人的にはデ・グリューが観たい。ゴールディングやボッレ、ガニオの甘ちゃんデ・グリューとは違い、ゴメスみたいな身を持ち崩した真面目な学生風になるのかと予想)

オシポワは、いつの間にか赤毛になっていた。
黒髪のオシポワが好きだったので少し残念。
サラよりかなりおきゃんなジュリエットで、そりゃもうイキイキしている。
陽性のロミオとジュリエットで、エネルギーに満ち溢れた感じがマチネとは違う。
が、驚いたことにジュリエットとロミオが舞踏会でひかれあうシーンで、上手側にジュリエットがいるときに、下手側のロミオに向かって手をくいくいと動かしたのだ!そう、あの動きはまごうこと無く「come!come!」の動き!
ええええええーーーーー。これ今日一番の驚きだった。
たぶんというか間違いなく初めて観た、ロミオを誘うジュリエット!
なんという肉食女子!
これはアリなの?どうなの?!
まぁオシポワのジュリエットならやりかねん、という感じではあるのだけど、あまり好きではない。
ABTでホールバーグと踊ったのを見た時は、バルコニーからしか観られなかったのでどうだったのかは分からない。
しかし大胆だなぁ。
この仕草もだけど、オシポワのジュリエットはおきゃんであるがゆえに、全体的に演技が濃い目。以前ABTで観た時よりクドイと言えばクドイ。
くっきりはっきりしているので、わかりやすい。
本当にサラのジュリエットとは対照的。

そして後朝のシーンは明らかにオシポワ&マシューのほうが甘やかで良かった。
これは主にマシューの演技によるかな。ベッドに残るジュリエットを愛しげに撫でるところが、もう本当に愛情たっぷり。
その後のジュリエット開眼(と言っていいのかわからん)シーンでは、オシポワジュリエットは割と動き回った後にさっとベッドに座って、ぴゃっと去って行く印象があった。
サラほどの余韻はないけれど、情熱と行動のジュリエット、という意味では舞踏会の手まねきといい一貫している。

ただ踊りは、ゴールディングとオシポワのタイミングが合っていない感じが若干した。
マチネの二人は流れるような踊りだったのに、ゴールディングだとリフトする前にオシポワがほんの少し止まってしまう感じがする。
もっとすーっとリフトして欲しいのに!
一瞬流れが止まるのでバタついた印象が少しある。


マキューシオの死も、ワディムの時は自ら下がったところにティボルトが刺してくるという感じだったが、ソワレではマシューロミオが押したところにちょうどティボルトの剣があったという感じ。
そう、ソワレは不可抗力的な描き方だった。
マチネのトーマスティボルトはある程度殺る気があるティボルトだったので、血が付いた剣を袖で拭ったりしていた。ソワレの平野ティボルトはすこし驚いていた感もあった。

ティボルトの死はマチネの方が不可抗力っぽいのに対し、ソワレは明らかに殺しにいっていた。というかマシューも平野さんも上背があるからそりゃもうダイナミックで見応えがあった。
そんな状態からのロミオがティボルトを壁際に追い詰めてグイッと刺して、さらにトドメを刺していたから、もう明らかに殺意あるよね。
なのでロミオの嘆きもマチネとソワレでは全然違う表現だったと思う。
こうも違ってくるとは、本当におもしろい。
しかも続けて観ていないとぼんやりした私は、違いがここまで明確にわからなかったと思う。

さてマクミラン版で唯一納得が行かないのがラストシーン。
なんでわざわざロミオとジュリエットを離れさせるのか。バルコニーシーンと呼応して、手を伸ばしても届かない、もしくは死んだら届く、ということにしたいのかもしれないけれど、ジュリエットもどうせ自分を刺すならロミオの側で刺すよね?わざわざ遠いところで刺して、石台ににじりよって渾身の力で上って、ロミオに手を延ばすって無理ありすぎ。
と常々思っていた。
が、マチネのサラは以前観た都さんのジュリエットのように「一刻でも早くロミオの側に行きたい」という感じがひしひしとした。ロミオの側というのは、死後の世界のこと。
なのでロミオの側に行くよりも自分を刺すほうが先なんだと理解できた。
が、意外にも情熱的なオシポワからはそういう感じは受けず。
またマシューロミオの転がっている場所が良くなくて、明らかに石台に上るのは遠回りでしかないから、本当に何してるの?って状態。結局石台に上ってもマシューロミオの腕はとれず、太ももにタッチして亡くなっていた。
太もも?!そこでいいんか?!

ちょっとえー?と思ってカーテンコールになったら、なんとマシューが泣いていた。感極まったマシューの横でにっこにこなオシポワ。なんかこう、アンバランスさに笑ってしまった。マシューワンコは始終オシポワのことを気にしているのにオシポワは我が道を行っているから、カテコでも息が合わず、マシューが一生懸命オシポワに合わせていた。

あ、仮死状態のジュリエットと踊るシーンでも、マシューはリフトのタイミングがあっていなくて、一瞬オシポワが立った後にリフトに入るので流れがとっても悪かった。
仮死状態なんだから、立たせるなよロミオ!マシューは良いものを持っているのだから、もう少し上手くなって欲しいなぁ。
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