SSブログ

2016/3/4 ハンブルク・バレエ「リリオムー回転木馬」 [バレエ]

image.jpeg
いやもう凄かった。
なんというかうまく感想がまとめられないのだけど、とにかく泣けてしまった。
映画の「回転木馬」を元にしたバレエなのだけど、映画の記憶はもはや全然ない。
とはいえ何か別物な感じだった。

昨日はバレエの祭典のゲネプロ鑑賞会に参加したのだけど、外せない用事があり17時過ぎに到着したため2幕からの鑑賞となってしまった。
ゲネなのであまり衣装をつけている人はいないし、途中からだし、ということで今ひとつ全容がわからず。そのせいか結構うとうとしてしまった。

まずさっと書けるところから。
音楽はミッシェル・ルグラン。演奏は北ドイツ放送協会ビッグバンドと録音音源。
これがかなり良かった。
バンドは舞台上の2階部分にいる。ミュージカルの「Movin' Out」みたいな感じ。
私のぼんくらな耳では生音と録音と馴染んで聞こえて違和感がなかった。
ビッグバンドなのでジャズなのだが、哀愁あるジャズ系の曲が多い。
職を求めて男たちが踊るシーンでの怒り渦巻くような勇ましい曲もあれば、
結婚式の時の明るくも切ない曲にかぶさる不安定感を煽る不協和音曲だとか、上手い!
「人魚姫」の時も思ったけれど、ノイマイヤーのバレエは音楽が本当によい。
DVD(BD)も欲しいけれど、サントラも欲しいくらい。

あらすじはこんな感じ。
遊園地で働くリリオムはモテモテで、遊園地を仕切るマダム・ムスカーシュの愛人。
カフェで働くジュリーは遠巻きにリリオムを眺めているが、水兵に絡まれリリオムに助けられたことにより二人は知り合い、付き合うようになる。
リリオムの愛人マダムはそれを怒り、リリオムを解雇する。
不況のためリリオムは職にあぶれたままとなり、ジュリーとの暮らしは貧しく、いらだちを隠せない。
ジュリーに妊娠を告げられ、リリオムは喜ぶが職はないまま。
ジュリーの友人マリーたちの結婚式をリリオムは抜けだし、
遊園地時代からリリオムをそそのかして悪い道に進ませようとする友人フィスカーとついには強盗を働くことにする。
しかし強盗が失敗し、追い詰められたリリオムは自殺をしてしまう。
リリオムの死を嘆くマダムとジュリー。
天国の門でリリオムは審判を受ける。ジュリーを殴ったということで、地獄行きになりそうになったが、ジュリーに絡んだ水兵を殺さずに最後は平和的に終えていたため、地獄行きは免れる。
ジュリーにルイスという男の子が生まれる。遠くからそれを見守るリリオム。
成長したルイスは、リリオムと同じく職にあぶれ、遊園地の仕事も嫌い、いらだちを隠せない。
母の愛が鬱陶しく感じる年齢なのか、ジュリーを邪険にする。
そこへ1日だけリリオムがやってくる。ルイスと打ち解け、ルイスに星をプレゼントするが、結局ルイスはリリオムに星を返し、リリオムを拒絶する。
それに怒ったリリオムはルイスを殴る。
そこにジュリーがやってくる。ジュリーはリリオムの存在を感じ、ルイスに伝える。
だがリリオムは去っていき、ジュリーだけが取り残される。

という感じ。
最初にリリオムとルイスの一連の流れがあり、最後にまた同じ流れを繰り返すのだが
これがもう全然違う印象を受ける。
1幕最初のルイスはリリオムのことを小児性愛者かと疑っているかのような感じ。
でも2幕最後では、ルイスがもっと愛に飢えている感じがするのだ。

リリオムの怒りもルイスの怒りも同じ振りを踊っていて、親子で同じ轍を踏みそうになっているのがわかるし、本当に面白い。

面白いといえば、重要なところで現れる風船男も面白い。
スローモーな動きが多いので、かなり踊るのが大変なのではないかと思うけれど、大変な割にサシャ・リーヴァの顔写真や紹介がプログラムに載っていなくて割にあわない感じがした。
ピエロも役名「悲しいピエロ」というだけあって、佇まいが本当に切ない。さすがロイド・リギンス!

どの役もほんとうにこれぞぴったりとしか言いようがなく、ほぼ初演時のメンバーで観られるというのは本当に素晴らしい。
カーステン・ユングだって結構歳だと思うのだが、リリオム役は最初からかなりずっと踊っている。
ハンブルクのHPを見たら、カーステンは40歳。
ダンサーとしてはなかなかの年齢なので、もうカーステンのリリオムを日本で観られることはないだろう。
ジュリー役のコジョカルだって怪我持ちだし、ユングとの組み合わせの妙はコジョカルならではなので、今回は本当に貴重。

なのに平日夜公演なせいか、自席から見た2階以上はかなり空席があった。
もう本当に勿体無い。
土日のチケットがどれくらい売れているのかわからないけれど、「今回はいいか」と思った人ほど観て欲しい。
正直リリオムにもジュリーにも感情移入はできないけれど、それでも感情が揺さぶられる素晴らしい舞台だった。必見。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2016/2/6 牧阿佐美「白鳥の湖」 [バレエ]

元ボリショイバレエ団(現カナダ国立バレエ団)のスヴェトラーナ・ルンキナと
ボリショイのルスラン・スクヴォルツォフが出演するので行ってきた。

正直、版としてはまったく面白くない。
出演者を増やすためなのか、冗長なのだ。
お教室の発表会で生徒さんにビデオ売らないと!という感じの版としかいいようがない。
なので結構苦痛。

お目当ての主演二人も初日のせいか今ひとつ精彩に欠ける。
貴重なルンキナの踊りなんだけど、これが日本で見る最後のチャンスではないことを祈ってます。

あーあ、今回東京バレエの「白鳥の湖」と秤にかけて、ルンキナを選んだのだけどちょっと失敗…
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2016/2/6 新国立バレエ「ラ・シルフィード」&「Men Y Men」 [バレエ]

久し振りに「ラ・シルフィード」を観た。
とはいえ今回のお目当ては「Men Y Men」だったのだ。
本当はマイレン・トレウバエフが出ている日が観たかったのだが、仕事の都合で初日になった。
初日だと初演のこちらの「Men Y Men」もこなれていないだろうなーと想像。

★「Men Y Men」
びっくりするほど短い演目だった。
男性ばかりの演目ではあるけれど「トロイ・ゲーム」とは全く異なる。
あちらはコミカルかつ力強くなんだけれど、こちらはラフマニノフに合わせて踊るので、アクロバティックなリフトはあれど相当クラシック寄りなのだ。
振り付けはウェイン・イーグリング。
男性ばかりが流れるように踊るというのは結構面白い。
ただもう少し観たいので、もう1曲分くらい長くしてくれるといいのになぁ。
(ダンサーが大変か…)

ところで挨拶のときには10人出てきたけれど、予定では9人のはず。
配布されたキャスト表も9人だったし、どなた?
どうして一人増えた?
新国立はそこまで詳しくないので、どなたが増えたかもわからず。
なんだったんだろう?


★「ラ・シルフィード」
本当に久しぶりな気がする。マシュー・ボーンの「愛と幻想のシルフィード」か
東京バレエに客演したマチュー・ガニオの「ラ・シルフィード」以来かな。
シルフィードは米沢唯さん。
これが意外と言っては失礼だけどはまっていた。
なんというか不思議ちゃんシルフィードなのだ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2016/1/11 「月夜に煌めくエトワール」 [バレエ]

チケット購入後、すっかり忘れていたので出演者もよく判らずにとりあえずオーチャードホールへ。
ダンサーは三人だけ。
パリオペのエルヴェ・モローとマチュー・ガニオとドロテ・ジルベール。
それにピアノのジョルジュ・ヴィラドムス、バイオリンの三浦文彰。
少人数だなー。この人数、演目にオーチャードホールは大きすぎる気がした。

エルヴェが故障中ということで当初予定されていた演目ではなくなったらしい。
調子悪いのなら無理せず中止でもよいと思うのだけど、大人の事情なんだろう。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2016/1/6 ミハイロフスキーバレエ「ジゼル」 [バレエ]

久し振りのサラファーノフが観たくて、クーポンサイトのようなところで
直前にS席の安売りチケットを購入。
どうせ28列とかなんだろうなーと思って、ばっちりオペラグラスも持っていったところ
なんと1階のR席。
えええええー?!思いっきり見切れが発生するこの席をS席で売っているのぉぉぉぉ?!!!!!
お得に購入したので、A席と思えば納得ではあるのだけど、
後列であってもいわゆるセンターで見たかったので、それなら定価購入したのに。
海外バレエ団のオケ付き引っ越し公演と考えると元々安い値段だとは思うのだが
こんな風にS席を水増しして対応していたのか…
しかしR側だったのがせめてもの救い。
ジゼルのお墓などはバッチリ観られたけれど、剣などを隠す小屋はまったく見えず。

サラファーノフは相変わらずポンポン跳んでいて踊りは良いのだけど、
今回強烈に気になったのは髪型!
プログラム写真では真面目な七三分け風なんだけれど、今回はこんもりとしたオールバック。
なんだかとっても違和感あり。
何をしても怪しげな髪型がマイナス感を漂わせる。
貴人と言われても、遊び人と言われても髪型ひとつで「アルブレヒトではありません!」て感じなのだ。
いくらなんでも怪しい…もしかしてヅラか?
以前見た時にサラファーノフは板前のような超短髪にしていたので、アルブレヒトにふさわしくないということでヅラ装着にいたったのか?と思ったのだがどうなんでしょう。
とにかくヅラが気になって気になって、あまり踊りが目に入ってこないという(笑)

ジゼルのヴォロンツォーワは意識して観るのは初めて。
ほー、この娘がフィーリン襲撃事件の子かぁ。
フィーリンもパーヴェル・ドミトリチェンコも不幸なことになったあの事件から約3年。
事前インタビューなどではもちろん襲撃事件には触れられていないし、しかもヴォロンツォーワは新婚だという!
(もちろんお相手はパーヴェルではない)
となるとどうしても色眼鏡が装着されてしまう私。
でもかなり愛らしい表情づくり。健康そうでジゼルには見えないけれど、可憐さは◎。
踊りもいいけれど、スタイル&技術力を考えるとやはりボリショイのプリンシパルの器ではないと思う。
彼女が中心で踊るボリショイ…ないわ…

と、サラファーノフもヴォロンツォーワも踊り以外のことに気を取られてしまって
なんとなく舞台全体にのめりこむことができず。
というわけで、ウィリーとなったコールドをじっくり見る。
な、なんと!!!!!!!
コールドのウィリーの中で、指輪をつけっぱなしの子がいるわ、真っ赤なマニキュアの子がいるわ、
もう無法地帯。おばちゃん驚きだわ。
未婚の乙女たちのウィリー、百歩譲って指輪は「未練タラタラなんです」で有かもしれない。
でもマニキュアはないわー。本当にないわー。
しかも一人だけでなく、複数のダンサーにマニキュアが…。

このゆるさがミハイロフスキーなのかも。
このメンバーの中であれば、ヴォロンツォーワは燦然と輝いていて、プリンシパルの器だと思う。

今回のメンバーではヒラリオンもなかなか頑張っていた。
いいんじゃない?と思ってプログラムを読むと、結構お年で驚いた。
ヒラリオンは確かに重要な役だけど、結構振りがキツイから若手を使ってもいいと思うのだけど
人材難なのかしらと思ってしまった。

でも生オケ付きでお値段を考えるととってもお得な公演だし、
普段バレエなんて見ないけれど、新年に少し非日常感を味わいたいという場合や
バレエ習っている子供に観せるなら本当にぴったりの舞台です。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2016/1/5 ミハイロフスキーバレエ「ローレンシア」 [バレエ]

日本初演ということで観てきた。

いや、なんというか凄いバレエだった。
まずストーリーが凄い。
大映ドラマ(今なら韓流ドラマ)かジェットコースタードラマか、というような超展開。

まずはキャスト。
ローレンシア:イリーナ・ペレン
フロンドーソ:イワン・ワシリーエフ
ハシンタ:アナスタシア・ソボレワ
パスクアラ:タチアナ・ミリツェワ ※ローレンシアの友人
メンゴ:デニス・モロゾフ ※パスクアラと良い仲?
ドン・フェルナン・ゴメス・ド・グズマン:ミハイル・ヴェンシコフ ※カラトラヴァ騎士団団長

題名の「ローレンシア」は主人公の女性の名前。
スペインの農村らしいのだが、フロンドーソはローレンシアに求婚するけれどふられ続ける。
どちらかと言うとじらしている感じかな。
ローレンシアとフロンドーソの父親達はそれぞれ村の議長で重鎮。
村でみんなで踊っているとカラトラヴァ騎士団団長と団員2人の3人がやってきて
娘たちにちょっかいをかける。
美しいローレンシアとパスクアラに迫るが、周囲がとりなしてなんとか騎士団に帰ってもらう。
(ここら辺までは「ドン・キホーテ」っぽい展開で、割と普通)

ローレンシアが小川に洗濯(!)に来ると、騎士団団長がやってきてローレンシアにまた迫る。
ローレンシアを追ってきたフロンドーソがそれを目撃し、ローレンシアを助ける。
怒る騎士団長はフロンドーソに「お前を殺す!」と宣言し引き上げる騎士団長。二人は村へ戻る。
(洗濯物、残しっぱなしでいいんですか…?)
他の娘たちもやってきて洗濯していると、ハシンタがやってきて「騎士団が来るから逃げろ」という。
娘たちは逃げるが、ハシンタは逃げ遅れてしまう。
騎士団員二人がハシンタに狼藉は働こうとするので、メンゴが助けようとするのだが二人にのされてしまう。
(メンゴはお腹や腿を蹴られていたけど、「狼藉」もそのものずばり性被害な感じでハシンタの上半身にむしゃぶりついたりでリフトも振り回すような感じで乱暴なものでバレエでは珍しい描写な気がする)
そこに団長が現れたので、ハシンタは団員の狼藉をやめさせるよう頼むが、まさにゲスな「ぐへへ」という感じで団長自らもハシンタに迫る。
そして連れ去られるハシンタ。(えっ!?バッドエンドしか想像できない感じ)

娘たちと村人が洗濯場に行くが、メンゴの姿が見えない。
パスクアラが見つけたのは、ぐったりしたメンゴ。皆で助け起こすが、ハシンタが連れ去られたことがわかる。
そこにズタボロな姿になったハシンタが戻ってくる。
髪は乱れ、チュチュは破れて汚れ、もう明らかに手篭めにされましたという状態。
村人たちに悲しみを訴える踊りが悲痛。
思うところあったのか、ローレンシアはフロンドーソの求婚を受け入れる。ここで休憩。

2幕はローレンシアとフロンドーソの結婚式から始まる。
父親たちの踊り、友人との踊り(パドシス)もあって、佳境!というところで
騎士団団長たちがやってきて、フロンドーソを捕らえる。
そしてローレンシアの花嫁のベールも投げ捨て、ローレンシアも連れ去る。(えっ!)

悲嘆にくれる父親達と村の男達が、騎士団団長のいる城前に集まる。
そこへやはりズタボロになったローレンシアが現れる。
ハシンタと違い悲しみより怒りが強いローレンシアが、男たちに訴えかけ煽り、
男たちは城へ乗り込んでいく。
(ここら辺から「女・スパルタクス」という状態)
残ったローレンシアのところに村の女性達もやってくる。
女性たちを率いて、ローレンシアも城へ入っていく。
城内突撃シーンは幕に映像で映しだされるのだけど、この映像がなんというか古臭い。
で幕があがると城内の広間になっており、
村人たちが騎士団団長たちを探しているとフロンドーソも助けだされてくる。
そして一致団結して騎士団団長を殺し、大団円。
(ローレンシアは勝利の女神みたいだし、何故か最後は「革命成功!」的な重々しさあり)

というあらすじなのだ。すげー。


まず最初に音楽が流れたところで、幕にはロシア語でビラのような新聞のような
ポスターというか文字が表示される。
字幕が表示されなかったので何が書かれていたか分からない。
ただとっても「ソ連」ぽい雰囲気が伝わってくる。
気になって調べてみると、そもそもこのバレエ「ローレンシア」はスペインの劇作家ロペ・デ・ベガの「Fuente Ovejuna(フエンテオベフナ、邦題は『羊の泉』)」という作品が元となっているらしい。(wikiと光藍社紹介より)
で、ロシア語のwikiを見ると「Fuente Ovejuna」のロシア語表記が「Овечий источник」。
頼りない記憶では「Лауренсия(ローレンシア)источник(泉)」部分が幕に大々的に表示されていたのだと思う。(yみたいな字が入っていたこと思い出しました〜)
ちなみに「フエンテオベフナ」で検索するとアントニオ・ガデスの振付作品もあったらしい。

あらすじからするとトンデモ話っぽいのに検索すると世界史の世界が広がっていて
ついつい脱線しそうになるのでお薦め。

閑話休題。
本当になんというか勢いのある話で、どんどん話が進む(1幕40分と短め)ので面白い。
振り付けはV.チャブキアーニ。
リフトが結構アクロバティックで、片手リフトしながら振り回すとか珍しい。
スペインということでカスタネットを持ったままの踊りも多くて、なかなか難しそう。
結婚式での父親達の踊りもコミカルで面白かったし、フロンドーソのソロも盛りだくさんでワシーリエフ向き。
全幕だというのに540も入れてきたし、ノリノリ。
というかワシーリエフ、以前に観た時より明らかに肉が付いている。
筋肉かもしれないけれど(というか多分筋肉)、とにかく付きすぎ!
最初は黒いベロアの衣装なんだけど、黒でもベロア特有のテカリがあるせいでパンパンに見える。
いや実際にパンパン!
脚だけ見たら、スポードスケートか競輪選手かって感じ。
元々スタイルは良くないので、肉が付いたことで余計に小さく見える。
もう弾むゴムマリ!
ダンサーとしてhオーバーウェイトに見えるけれど、それでもあれだけ踊れるのは凄い。
でも今のスタイルでは、ノーブル王子役には難がありすぎると思う。
そういう意味ではフロンドーソ役は王子ではないのでぴったり。
あのウェイト&筋肉があるから、片手リフトで歩きまわるのも安定しているのかも。
役としては「ドン・キホーテ」のバジルっぽい、気のいいあんちゃん役。
2幕の村人蜂起シーンでも、騎士団団長と一対一で戦っていたはずなのに
気が付くと押し込まれそうになって、村人に助けてもらってアワアワしている間に団長死亡、
兜(本当は首なのか?)を棒に刺して、勝どきを上げるけれど、私の席から見たところ「お前何もしてないよっ!」という感じだった。
結構ちゃっかりな感じの役だなぁ。
2幕は結婚式なので白衣装。もうね、本当にムッチムチ。
そして騎士団に掴まって村人に助けられた時には、タイツの腿部分がばーん!と破けている。
これがどうしても「腿が太くて力入れたら敗れたんです」にしか見えないっ!
上半身も肩の辺り盛大に汚れて破れていたから、もちろん「傷めつけられました」の記号的破れなんだけどね。

ローレンシアのペレンは、途中まで美人な明るい村娘。
踊りも安定しているし、いいよねーと思っていたら、2幕途中から女スパルタクスに変身。
非常に力強い踊りとカリスマ性を発揮していた。
というか曲がおかしい。
ローレンシアが男性陣を煽り、男性陣が城に乗り込んでいくシーンより、
ローレンシアを筆頭に女性だけで踊るシーンのほうが断然勇壮な曲なのだ。
動画でいうと2:07からの部分になる。
いくらなんでも勇壮すぎないですかねー。
ラストも敵を倒して、恋人たちが抱き合って明るく踊って終わりかと思ったら
ローレンシアだけが一人前に出て、フロンドーソも村人と一緒に後列にいる状態で
全員で力強く踊って終わりになるのだ。
もうローレンシアに赤い旗でも持たせて振らせたいくらいだ。
バレエの女性のタイトルロールとしては非常に珍しく力強い役なので、姫役に飽きたらない女性ダンサーにはぴったりではなかろうか。
個人的にはボリショイのマリーヤ・アレクサンドロワや、パリオペラ座のマリ・アニエス・ジロに踊ってみて欲しい。

ハシンタのソボレワは、役としてはツラい厳しい役なのだけど見せ場たっぷり。
踊りも良かった。

結婚式のパ・ド・シスには、見たかったヴィクトル・レベデフも出ていてちょっとラッキー。
宣材写真ではかなりキリリとイケメンなのだけれども、踊っているレベデフは素朴なイケメンだった。
スタイルも踊りものびのびとしていて、なかなか良い。
でもマリインスキーやボリショイで踊るには少しだけ背が足りない感じがする。
そういう意味ではミハイロフスキーはぴったりなんだな。

カーテンコールではワシーリエフ大サービス。
1回目、2回目はジュテでカーテン影から登場。
2回目については自分の身長くらい跳んでいたんじゃないかなぁ。
3回目は思い切り反って登場して、客席を沸かせていた。

いやー新年早々、本当に貴重な舞台を観た。
ただお子様向けではないな。
でもぜひともまた上演して欲しい!

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2015/12/30 シルヴィ・ギエム ファイナル [バレエ]

またまた読み間違えて「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」はモニター鑑賞となった。
でもこちらがファーストキャストなのかな?
それともギエムに鍛えられたのか、小さい画面でも明らかに20日よりキレがいい。
ああ、ちゃんと観たかったなぁ。


★TWO
もう二度と生で観ることは叶わないのかと思うと、本当に悲しい。
確かTVで放送したと思うけれど、生で観るほうが遥かに良いのだ。
20年くらいバレエを観ていて、神秘体験したと言えるのは、マラーホフの「コート」とギエムの「TWO」だけ。
吉田都さんの「シンデレラ」、「ロミオとジュリエット」では、舞台上と観客との一体感という点では奇跡的なものはあったけれど、それとは違う。
本当に次元の異なる何か素晴らしいものを与えられた、という感じ。
他の誰が踊っても、私にはギエムの残像しかもう見えないだろうと思う。
同時代に生きていて、しかも何度も観ることができて、本当に本当に幸せ。
でもどうしても「もう見られない」という気持ちが拭えず泣けてしまった。
ラッセル・マリファント作品とギエムは本当に相性が良かった。
ギエムの一挙一足、全てが作品にはまっている。
この演目を選んでくれて本当にありがとうと言いたい。


★ドリームタイム
本日は全く寝ることなく、きっちり全て観た。
睡魔に襲われながらだと長い印象なのだが、あっと言う間だった。
やはり、吉岡さん、木村さん、梅澤さんの三人が素晴らしい。
息のあった流れるような躍りで素敵。
今回久しぶりの上演だったようだけど、もっと上演してほしい。
若手がスムーズに踊るのは難しいのかもしれないけれど、上演しなければ上達もしないだろうし、なかなか詩情も出せないだろう。
東バには良いコンテンポラリー作品が多いのでの、絶やさないで欲しいと切に思う。
吉岡さんはカーテンコールで泣いていた気がするので、もしかしてもしかするのだろうか?
少し心配…


★ボレロ
2階の張り出した袖部分の席だったので、リズムに遮られることなく、よくギエムが見えた。
最近のギエムのボレロは見るたびに印象が変わっていく感じがしたが、今回もまた新たな感じを受けた。
何て言うのか、楽しげな感じを受けたのだ。
でもオペラグラスで見るときりっとした表情で踊っているし、なんだろう?
挑むでもなく、慈愛でもなく、ただ踊るのみというのか、本当になんだろう?
上手く言葉にできない。
視野のなかに入る東バのリズムも、今までもこれほど揃っていたか?!と思うほど、ギエムと音楽にびったり合っていて素晴らしかった!
ああ、本当に素晴らしかったなあ。

カーテンコールではまた観客からの花束





2015/12/20 シルヴィ・ギエム「ライフ・イン・プログレス」 [バレエ]

image.jpeg
image.jpeg
image.jpeg

ギエムが引退ツアーとして半年以上?踊ってきた公演のラスト。
ロンドンで夏に観た時から変わっているのかどうか、気になっていた。
しかし今回は開演前からケチ続き。
祭典会員の特典のプログラム引換券を文化会館入り口から開場入場口の
ほんの数十mの間に落としてしまい、しかも見つからなかった…
落とし物で預けられていないかと尋ねてみたけれど、なし。
うわーん!
そしてオペラグラス忘れたので借りようと思っていたのだけれども
プログラム引換券を探している間に貸出終了…
ついてなさすぎる〜

<第一部>
★イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド
たぶん全部を観たのは初めてじゃないかなぁ。
デュオ部分はガラ公演でよく観ていたけれど、最近は流行りじゃないのか見かけない。
今回のギエム公演に東バが出演するということで、ギエムが薦めてくれた演目らしい。
しかし正直言って成功していない。
ところで私はロベルト・ボッレが好きだけれど、彼のイン・ザ・ミドルも
以前観た時はそれはそれはモッタリしたイン・ザ・ミドルで、これは違うなーと思ったのだが
今回の東バも同じ感じ。
でも当たり前だけど、ボッレより踊れていない。
全体的に漂う、もったりまったり感。ソリッドさはほぼ皆無。
そして私の席(サブセンターブロック)では、肝心のオフバランスがほとんどオフバランスになっていないように見えた。
オペラグラスがなくてわからなかったけれど、柄本くんではない男性ダンサーが1人良かったかな。
女性では上野さんが比較的合っていたと思う。
全体を観られるのは嬉しいけれど、これ踊りこなせるようになるのかなぁ。
薦めたギエムはどう思ったのだろうか?
ただ日本で上演権を持っているところがたぶんないので、新たに東バが持ってくれるのは喜ばしいこと。
でもたぶん今なら新国立バレエのほうが踊れそうな気がする。
ぜひとも東バには頑張ってもらって、モノにして欲しい。
ところで舞台中央、上からぶら下がっている金色の何かは、友人によるとさくらんぼらしい。
オペラグラス無いから、丸い二つの物は判別できたけどさくらんぼとは思わなかった。

★ドリーム・タイム
私と相性の悪いイリ・キリアン作品。
3人の女性の中で1人、踊りが好きだなーと思って観ていたのだけど
気がついたらスヤァと寝ていた…
衣装も背景も踊りも面白いなぁと思っていても、何故か寝てしまうキリアン作品。
今回もダメだった…

<第二部>
ここからが本番、ギエムの「ライフ・イン・プログレス」となる。

★テクネ
夏にロンドンで初めて観た時は「なんじゃこりゃ?」と思った。
ギエムの変態的な動きを余すことなく伝えるかのような、虫のような独特の動きをするのだが
初見ほどのインパクトはやはりない。
でも改めて、ギエムには自分の意のままに動かせない関節や随意筋はないのではないかと思う。
というか不随筋ですら動かせそうな感じ(笑)
これを見ると「動けなくなったから引退します」ではないというがわかる。
もしそうだとしても、ギエムの以前の可動状態が100%とするならば
今は98%とか95%とかで、それでも凡人の150%くらいに値するのだと思うのだ。
いや、なんとも勿体無い話だけれど、常にその状態を維持することの大変さは
凡人には想像もつかないことなので、それを続けてくださいとは言えない、と改めて思う。

★デュオ2015
当初の演目発表では、デュオは入っていなかったので東京ではないのかと思っていた。
気がついたら入っていたし、しかも「2015」と付いている。
で、何が違うのかといえば、ギエムが出てくるのだ!
え?夏の時は本当に男性二人のデュオだったよね?
なぜギエムが出てくる?!
そもそも男性二人がつかず離れず踊る演目で、完璧にシンクロすることもあれば
互いに真似して踊っても微妙に解釈というか動きが違っていたりになる。
いかにもコンテンポラリーを踊ってますという体型の二人なのだが
やはり基本はクラシックバレエなんだなということがとても良くわかる動きが多い。
そこに突然ギエムが入ってくる。
デュオに絡むギエムという構図で、なかなか面白い。
二人だけの関係性だったのに、ギエムが入ってくると、二人の視線はギエムを追う。
ちょっとボレロっぽい振りをギエムがすると、二人も真似する。
そしてギエム退場。
でもまたギエムが登場してくると、二人の表情も「あれ?」という感じになった。
で、ギエムは舞台袖に戻るふりをしてすぐに踊りに復帰する。
ここのところ、二人の驚いた表情がとっても自然だったし
ギエムが本当に戻った後も「あれ?戻ってくる?もう戻ってこない?」と
舞台袖を必死に目で探っていたから、本当に即興なんだろうな。
でもここで疑問。一体何時の時点で、ギエムも参加することに変わったのだろう?
夏のロンドンではギエムはデュオには参加していなかった。
日本公演のみ?
プログラムにはそこら辺が何も書かれていないので、まったくわからない。
でもフォーサイスに許諾をとっているのだろうから、日本だけではないのかな?
このもやもやはどこかで解消できるのかなぁ。

★ヒア・アンド・アフター
ロンドンで観た時は、正直ギエムと一緒に踊る女性ダンサーが可哀想になったものだった。
今回見ると、踊り慣れたのか、こちらの眼が慣れたのか二人の踊りの差もそこまで気にならない。
そこも含めてのプログラムなんだな、と。
しかしラストのヨーデルパートは結構唐突なヨーデルなので、
私の前の列でぐっすりお休みになっていた方が、急に起きていた(笑)

<第三部>
★バイ
初めてこの作品を観たのは、プログラムによると2011年。
ちなみにプログラムには、ギエムが日本で踊った公演、演目が網羅されている。
こうしてみると、ギエムの全幕を最後に観たのはロイヤル・バレエの2005年の「マノン」。
その後、「三人姉妹」や「田園の出来事」は見ているけれど全幕と言っていいの悩む。
しかし2005年て!もう10年も前になるのか!
たぶん初めてギエムを観たのは1995年辺りじゃなかろうか。
で、2011年にこの作品(その時は「アジュー」という題名だった)を観た時に
「ついにギエムも引退を意識するプログラムが!」と感慨深かったのだが
本当に引退公演となってしまった。
というわけで思い入れも思い込みもMAXで観てしまった。
ラストで入り口のようなスクリーンに様々な人が集まるシーンで
もう涙が出て止まらなかった。
でも一方で冷静な私は、前列の人たちがオペラグラスでスクリーンの人の顔を確認しているのを見て
「バイ(アジュー)」は初見の人が多いんだな、と考えていたりもした。
「コンテンポラリーは苦手」という人は意外と多くて、本日の公演も第二部になっても座席に沈没している人を多数見かけた。
ギエムの渾身の「バイ」を見て、コンテンポラリーも素敵と思ってくれるといいのだけど…
そして私の後ろの男性は、私が涙を流し始めたのとほぼ同じタイミングで嗚咽し始めた。
ああ、この人は知っているんだな、と思ったけれど、これがかなりの嗚咽で
「うぐっ……ひっくひっく……おぅ…ずずっ」という感じで嗚咽よりは号泣に近い状態になってしまった。
そうなると結構気になってきてしまう。
でも本当にラストなんだよなーと思うと、ギエムをしっかり観たいから泣きたくなくても涙は止まらない。
2011年の予感が本当になってしまう時が来るなんて、わかっていてもわかっていなかったのだと痛感した。

引退が発表されて、こうして引退公演が日本で観られるのは本当に本当に幸せなこと。
たぶんダンサーにとっても自分で引退を納得した形で発表でき、自分の思うように幕切れができるのは本当に本当に幸せなこと。
怪我でやめていったダンサーや、特に男性ダンサーははっきりした引退公演もできずにひっそりと団を去って行くことも多い。ウヴァーロフとかウヴァーロフとかウヴァーロフとか。
それだけスターダンサーであったということもあるけれど、何より大怪我をせずにこれたというのも大きいと思う。
そんなわけで、哀しいけれど本当に幸せな公演を見ることができた。

最後はめずらしくオケピが塞がれていて、ギエムが客席近くまでやってきた。
そしてファンからの花束を何個も何個も受け取っていた。
オケピ塞ぐなら、10列目くらいまでの客に薔薇1輪をフィギュアスケートの投げ込み用みたいにして売ればよかったのに。そうすれば薔薇のシャワーになったのになぁ。

テクネの音楽担当3人や、デュオの二人、ヒアアンドアフターの女性も出てきて
半年以上の公演のラストをギエムと分かち合っていた。
東バメンバーも出てきて、本当に大団円。
ほぼ全員のスタオベに、何回ものカーテンコールで本当に感動した。

オペラグラスを使用していた友人によると、「バイ」のラストでギエムは泣いていたそうだ。
今回の演目で、「テクネ」はもう踊る人がいないだろうと思う。
「ヒア・アンド・アフター」は他のダンサーでも観られるだろう。
「バイ」も他のダンサーでも問題ないだろうけれど、もはやギエムの印象が強くて
この先見ることが出来ない演目になってしまうかもしれない。
ベジャールが振りつけた「シシィ」「ルナ」や「ラシーヌ・キュービック」など
ギエム引退と共に観られなくなってしまう作品もあるかと思うと本当に切ない。

残すは30日と31日のボレロ。しっかり目に焼き付けたい。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

2015/12/6 マリインスキーバレエ「白鳥の湖」 [バレエ]

ついに私のマリインスキー祭りが終了した…。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。