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映画「ウィンターズ・ボーン」 [映画]

重い。
とても重い映画だった。

ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: Blu-ray



アメリカの片田舎と言ってもいいミズーリのオザーク高原での話。
高原なので森があっても見通しが良い感じがする。
空も広々しているのに、全体の閉塞感が凄まじい。

主人公のリー役のジェニファー・ローレンスがいい。
なんとも言えない力強い佇まいを持っている。

母親は精神的な病により生活能力はなく、言葉も発しない。
頼りのはずの父は、非合法な仕事(麻薬製造&販売)の挙句逮捕され
保釈中に姿を消してしまっている。
幼い弟と妹を養うのは主人公のリー17歳である。
日常の生活にも事欠く状態であるのに、
自宅と土地が父の保釈金の担保として設定されており、父が出廷しないと
担保をとられてしまうことが判明する。
進退極まってしまうリーは、父を探すため
非合法なことも厭わない人々と渡り合うこととなる。

狭い村ゆえ、周囲の誰もが怪しい。
父への手がかりを探すためにがむしゃらに動きまわるリーは
あらゆるところから煙たがられる。

父が健在ならば、リーは軍へ入隊するつもりだった。
入隊すると4万ドルもらえるということなので、自宅を片にとられても
生活できるのぞみがあると考え、プロモーターへ出向くリー。
しかし、両親の承認が必要となり、父親が行方不明の状態では
出願することもできない。また入隊金もすぐに支払われるわけではないとわかる。
プロモーターからは「今君がするべきことは弟妹の面倒をみること。
そばにいることだ」と諭されてしまう。
リーにはお金を稼ぐことも、今の生活から逃げることもできないのだ。
プロモーターの言うことは、優しさから出た言葉でもあり
そこが余計に辛く、厳しい。
帰り道での諦めたような、根性据えたようなリーの視線が悲しい。

けむたがられながら、脅されながらも
リーは父への手がかりを体当たりで掴んでいく。
父が何をしたか、何をしなかったか、だんだんと判明してくるが、
その結果、どうやら死んでしまったことがわかる。
だが確実に死亡したという証拠がない限り、逃走中となってしまい
担保はとられてしまう。
どうしても証拠が欲しいリーに、手を差し伸べてくれる人々がいたが
あまりにも過酷な解決案を示される。
それでもリーには選択の余地はない。
なんという17歳なんだろう。

また最初は敵対しているといってもいいくらいリーを煙たがっていた伯父が
途中からリーを助けてくれるのだが、ラスト付近では
この伯父もまた、父と同じ運命を辿ることが暗示される。

なんなんだ! 救いはないのか?!

たぶんリーにとっての救いは、子供時代をそれなりに謳歌している弟と妹。
確かエンディングロールは妹の笑顔で終わっていた。


ところで、この閉塞感ありありの田舎で、誰もが怪しく
誰もが非合法なことに手を染めているような雰囲気というのは
懐かしの「ツイン・ピークス」を彷彿とさせる。
と思っていたら、父の元愛人役エイプリルで出ていたのは
ドラマや映画「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最後の7日間」で
ローラ・パーマーを演じたシェリル・リーだった。
あまりにも老けていたが、見覚えがある顔だったのでクレジットをガン見。
これは意図的な配役なのかな? と思うのはうがちすぎ???


たぶん家で見ると淡々としているので、はかばかしい感想を得られないだろう。
これは映画館で見るべき映画だと思う。



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