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映画「メランコリア」 [映画]

久しぶりのラース・フォン・トリアー作品。
最初の序章でもうやられてしまった。
「トリスタンとイゾルデ」の調べとともに繰り広げられる序章の映像、
これが撮りたかったんだろうなーという素晴らしい映像だった。
ジャスティン役のキルスティン・ダンストのノーメークのような
もさっとした顔のアップの背後では、鳥がどんどん墜落してくる。
海か湖を望む庭園にある大きな日時計は、2つの時を示す。
ゴルフ場を子供を抱えて横切る女性の足元は、ずぶずぶと芝生にめり込む。
スローモーションで意味深な映像が続くのだが、本当にいい。
ここだけでも何回も見ていたい。
できれば映画館で見たい!というか見るべき!

そして第1部は「ジャスティン」。
序章とはうって変わって幸せ一杯な明るい表情のジャスティン。
それもそのはず、ジャスティンの結婚式なのだ。
姉クレアとその夫ジョンの経営する?ゴルフクラブ(といってもマナーハウスか?)での
豪華な結婚式を行うのだが、肝心の新郎新婦が2時間も遅れて到着したりと
幸先が悪い。
ジャスティンとクレアの母(シャーロット・ランプリング)は
「結婚なんてくそったれ」的なことをスピーチで言うような
とてもラディカルな女性。もちろん?離婚している。
父は左右にベティという名の女性をはべらしているような俗人。
母は金持ちと結婚し安定した生活を送るクレアを理解できず、少し馬鹿にしている風。
でもあんな父母じゃ、安定を求めても仕方ないと思うのだ。
少しおどおどとしたところのあるクレアは、シャルロット・ゲーンズブール。
夫のジョンは、キーファー・サザーランド!
裕福な経営者という余裕ある役をこなしている。

それにしても歯車が咬み合わなくなっていく様が凄い。
予定通りに式が進まないことに対して、クレアとジョンは苛立っていく。
原因はジャスティンの奇行。
到着した直後のジャスティンは、出席者がワインの空き瓶の中に豆を入れていき
その豆の数を当てるという余興も喜んでこなしていく。
新郎マイケルも上機嫌で豆を入れ、「200万◯粒!」と答えていたが
ジャスティンは豆を入れただけ。
それでも上機嫌だったのだ。
ジャスティンの上司からの祝辞と昇進の知らせを聞いていた時も笑顔。

それがあれよあれよという間に、顔から表情が消え、パーティから抜け出す時間が長くなる。
マイケルとの甘い会話の後、マイケルは余韻に浸るが
ジャスティンのある行いで余韻はぶち壊しとなり、ジャスティンの心境を疑問に思い始める。
結果、披露宴終了時には新郎マイケルも去っていく。
マイケルは未練ありありの問いかけ「僕も帰ったほうがいい?」を発するのだが
ジャスティンはあっさりと「そうね」と返答してしまう。

余興の豆の数当ても、結局発表せずに終わり、クレアだけがその結果を聞く。

また第1部では、冒頭のほうで見えていたさそり座のアンタレスが
ラスト近くで消失している。

1部ではとにかくマイケルが不憫で不憫でしょうがない。
マイケルの何が不満なんだよ、ジャスティン!
ということでジャスティンに全く共感もできずに1部は終わる。
ただ式の執り行いをしているウド・キアーが面白い。
この面白さが1部の救いかなぁ。

第2部は「クレア」。
どうやら第1部から少し時が経過している模様。
この時すでに、メランコリアと名付けられた惑星が
地球のそばを通過するということが判明している。
クレアはメランコリアが衝突するのではないかと、気が気でない。
夫のジョンは大丈夫というが、心配なので結婚式後引きこもりのジャスティンを呼び寄せる。
クレアとジョンの息子レオは、素直におばさんがやってきたことが嬉しいが
ジャスティンはどん底で、お風呂に入るのもままならず、ひたすら寝ているような状態。
だが徐々にジャスティンの様子は落ち着いていく。
クレアは落ち着かない。
ジョンに禁止されているネットで、メランコリアと地球との「死のダンス」画像をみて
衝突するのではないかと怯えながら暮らすようになる。
ここら辺の対比も面白い。

そしてクレアはジャスティンに尋ねる。「怖くないのか?」と。
するとジャスティンは驚くべき返答をする。
ええ?そうなの? そんなオチなの?って状態。
まさかトリアー作品でこんなオチをみることになろうとは。

しかしこれが意外としっくりくる。
序章はたぶんそういうことなんだよなぁ。

結局メランコリアは地球へと再度向かって来て、衝突して終わる。
自信満々に見えたジョンの最後も、クレアの最後も
落ち着いているジャスティンとクレアのレオとは違う。

最後の迎え方も、クレアは取り繕うかのような迎え方を
ジャスティンに提案するが、一蹴されてしまう。

結局ジャスティンとレオは、木を組み合わせた簡単な基地を庭に作り
そこにジャスティンとクレア、レオが入り、手をつないで最後を待つ。
が、クレアは最後の最後になって二人の手をはなし、取り乱してしまうのだ。
お母さん!息子の手を離しちゃ駄目じゃない!

救われない感じの終わりではあるのだけど、なんといっても映像が綺麗だし
見終わった後もじわじわと蘇ってくる。
でもSF的正確さはみじんもない(笑)
あんな巨大な惑星が地球に近づいてきたら、衝突する前に
もっとハリウッド映画的大スペクタクルがあるはず。
おとなしく地上で衝突を迎えられることはないだろう。
それでも映画の価値が下がるわけではない。
もう一度見に行ってみようかな…
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