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映画「ムード・インディゴ」 [映画]

ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」の映画化。
監督はミシェル・ゴンドリーで、主演はロマン・デュリスとオドレイ・トトゥ。

「うたかたの日々」の映画化作品を見るのは、この作品で3作目。
1作目は1968年のフランス作品で、こちらは90年代に日本でも初公開された。
その時に観に行ったのだけれども、その時の印象ではあまり好きな作品ではなかった。
当時ですら30年近く前の作品なので、妙に古臭くてなんだかこう、とにかく微妙だったのだ。
画像検索してみたら、バーバレラとかみたいなチープSFのノリもある?
残念ながらDVDなどは出ていないので、再度見たくても見られないかも。

で原作を読もうと思ったら、当時手に入ったのはこちらの版のみだった。

ボリス・ヴィアン全集〈3〉うたかたの日々

ボリス・ヴィアン全集〈3〉うたかたの日々

  • 作者: ボリス・ヴィアン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1979/06
  • メディア: 単行本


表紙画像がないけれど、ハードカバーというにはぺらっとした表紙に
ポケミスのようなビニールカバーがかかっていた。間違いなく実家に未だある。

その次が邦画の「クロエ」。
2001年の作品で、監督は利重剛。主演は永瀬正敏とともさかりえ。
こちらもなんというかタルくて、まったくはまらなかった。
なので「うたかたの日々」という話自体が合わないのかなーと思っていた。

そして今回。
性懲りもなく観に行ったわけだが、ちゃんと予告を観て「これは行けそう?!」と思って行ったのだ。
そして予想通り、こちらは面白かった。

前半のファンタジックな世界が本当にミシェル・ゴンドリーにぴったり。
家の中のネズミ(人がきぐるみで演じている)の家や
パリの街中を雲型(でも白鳥)のボートに乗っての空中散歩、
コランのアパートメントから見えるパリの風景、ピアノカクテル、
カラフルで美味しそうなお料理の数々、見ていてウキウキしてくる。

そして合間合間に挿入されるタイプライターシーン。
大勢が部屋の中に座っていて、1行、2行くらいを文章を叩くくらいの間隔で
どんどんタイプライターは隣の人へ流れていく。
そう、タイプライターの流れ作業なのだ。
ここで働いている?人たちの衣装が、少し昔風のカラフルな衣装で可愛らしい。

ところでコランはロマン・デュリスで、クロエはオドレイ・トトゥ。
オドレイはせめて5年くらい前、できれば20代ならばもう本当に良かったと思う。
前半のキラキラ世界では、ほんの少し実年齢を感じさせてしまう。
その分後半の病んでからはぴったりと言えるのだけど(苦笑)

そして後半にクロエが病んでからは、コランとクロエの世界は
どんどん陰っていき、狭まってくる。
そう、文字通り。
画面から色が消えていき、コランの一風変わった素敵なアパートメントは
どんどん狭くなり、部屋の中に枯れ葉がたまり、それなりの高さがあった部屋は沈んで行き
最後には路面が窓の真ん中辺りになってしまう。
この落差がより一層悲惨な感じを醸し出すのだ。
とはいえ、クロエの埋葬シーンなどはブラックな笑いもある。

ここらへんのさじ加減がじめっとしすぎず良い。
そしてたぶん元々原作にあった「ドラッグ」臭がこの映画からは感じられない。
そこも良い。
あくまでもファンタジックにリリカルに
品よくまとまっている「うたかたの日々」だった。



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