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映画「橋からの眺め」 [映画]

映画というかナショナル・シアター・ライブの作品。
マーク・ストロング主演ということで観に行ってみた。
いやこれものすごく面白かった!
「夜中に犬に怒った奇妙な事件」と同様に、すり鉢状の座席の底に長方形の何もないステージ。
「犬事件」とは異なって、閉塞感のある内容なのでその狭さがピッタリ合っていた。

ものすごく大雑把なあらすじは以下。
イタリア系移民のエディとベアトリスの夫妻と姪のキャサリン(妻の亡き姉の娘)という3人家族のところに、妻のいとこ兄弟、マルコとロドルフォが不法移民としてやってくる。
なんとか危ういバランスをとっていた3人の中に、2人が入ることによりバランスが崩れる。
(なおベアトリスは犬事件の母親役の人だった)

これ、エディとマルコ、ロドルフォ、キャサリン以外は、口には出さないがエディがキャサリン(姪)に道ならぬ恋をしていると思っている。
でも最後にエディが手を差し伸べて求めるのはベアトリス。
そう、私にはエディからキャサリンへの恋心は見えなかった。
途中で思い出したのは、映画の「レ・ミゼラブル」。
舞台版とは異なる曲「Suddenly」が入ったことによって、映画版ではジャン・バルジャンのコゼットへの愛が強調されていた。コゼットを幸せにしたい、その一心で逆にコゼットを縛り付けることになってしまう。ただ「レ・ミゼラブル」では娘への妄執的な愛になりかかっていたバルジャンは、神への信仰からコゼットを手放すことを決意するのだ。
今回の「橋からの眺め」は、「レ・ミゼラブル」のような「信仰」というテーマがあるわけではないと思う。なのでエディは、キャサリンへの親子愛が妄執的になっていくのを止められない。

またキャサリンもエディとの擬似親子愛という心地良い関係を止められない。
17歳になっていても、エディに飛びついて抱っこされたりと年齢に合わない過剰なスキンシップをしている。
ベアトリスに「大人扱いされたいなら、大人になりなさい」と忠告を受けるのだが、その内容が「スリップ1枚の姿でエディの前に出るな」「風呂あがりで下着姿のエディに話しかけに行くな」というようなもの。
確かにこれは子供の振る舞いで、17歳の大人になりかけの少女の振る舞いではない。
だからといってキャサリンが悪いわけではない。

キャサリンがもう少し段階を踏んで大人になり、エディが望むようにエディとは異なる階層に属する結婚相手が見つかればハッピーエンドになったかもしれない。
 
しかしものすごい緊張感漂う舞台なのに、絶妙な間、表情でユーモア漂うシーンもある。
これ、カメラも上手いのだと思う。

映画館のみでなく、BDで販売もして欲しいなぁ。







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