映画「ふたりのベロニカ」 [映画]
「エリザベート」と重なって、全然行けていない「クシシュトフ・キェシロフスキ祭」。
なんとか行ってきた。
本当は「愛に関する短いフィルム」「殺人に関する短いフィルム」「赤の愛」も観たかったけれど、1本しか見られないなら「ふたりのベロニカ」しかない。
イレーヌ・ジャコブは本当に可愛い。なのに潔い脱ぎっぷりの良さ!
まぁこんなに可愛くて美しい時期をこんなに綺麗で詩的にフィルムにしてもらえるなら女優としては本望?
キェシロフスキの中では大好きな映画なんだけれど、実はどうしてもフランスのベロニカの恋人アレクサンドルが好きになれないのだ。
昔観終わった後に友人と話をした時に「あの男、家だけでなく実家まで特定して気持ち悪い」と言ったら「ロマンチックでいいじゃん」的にあしらわれた。
あの当時はまだ「ストーカー」という言葉もなかった気がする。
同じような理由でウォン・カーウァイの「恋する惑星」も好きではない。
「不在の間に家に入るなんて、変質者だよ!」と力説したが、誰も賛同してくれなかった。
さてストーカーという概念が一般化している今、初めて「ふたりのベロニカ」を見る人はどう思うのだろうか?
ま、私がアレクサンドルが嫌いな理由は他にもある。
まずひとつは、フランスのベロニカがクラコフでのベロニカを発見し、しかももうクラコフのベロニカはいないということに気づいて涙する場面。
とても良い場面だと思うのだが、その場面でアレクサンドルは欲情してセックスになだれ込んでしまうのだ。
これは彼が嫌い=キェシロフスキの脚本が嫌いということになるのだが、何か本当に嫌な気持ちになってしまう場面だ。
2つ目は俳優さんが好みではない、という身も蓋もない理由だったりする。あの乱ぐい歯が耐えられない。
しかし嫌な点があろうとも、音楽や最初の天地が逆になったシーンなどなど、この映画の良さは嫌な点を補って余りある。
というわけでまたスクリーンで見られてよかった。
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